地域医療の問題とその対策

医療業界におけるこれからの課題の1つに、地域医療の問題があります。
少子高齢化が進み、2025年には団塊の世代が70代を迎えます。国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化時代がやってくるのです。
病気で来院する患者を入院させたくても、受け入れるベッドが足りていない現状が課題です。

対策として、厚生労働省は発想を転換し、いわゆる「地域医療構想」を掲げています。
従来は病院ですべての治療とケアを完結していましたが、これからは退院できる患者は自宅に戻り、治療や介護サービスを受ける「在宅医療」に移行することを積極的に推し進めています。
医療保険と介護保険との連携、また病院と小規模のクリニック、訪問看護ステーションなどの連携によって、地域全体で患者を支えていくというものです。

厚生労働省のガイドラインを基に、平成28年に各都道府県ごとの地域医療構想が策定されました。2025年に向けた取り組みが始まっています。
具体的には、将来的に推定される患者数を推測し、それに見合った各病院ごとの入院ベッドの振分けを決めていくというものです。入院病棟の種類も、役割によって結核病棟、回復期リハビリテーション病棟など多種多様なので、急性期の一般病棟を含めてどれだけ必要なのかを決めていきます。

地域医療構想では、適正な医療を提供する体制を整備することで、膨大に膨らんだ医療費の削減を最終目標としています。